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堂・御影堂をもたてられ、御住持をも御相続ありて、大坂殿を御建立ありて、御隠居候う。然れば、われは、「功成り、名遂げて、身退くは、天の道なり」ということ、その御身の上なるべき」よし、仰せられ候うと。
(165)一 同じく御病中に、度々仰せられ候うと云々 慶聞に仰せられ候う。「賊縛の比丘は、王遊に草繫を脱し、乞食の沙門は、鵝珠を死後にあらわす」と云う戒文を、たびたび仰せられ候う由に候う。御滅後に不思議をあらわさるべきの仰せに候う。
(166)一 敵の陣に火をとぼすを、火にてなきとは思わず。いかなる人なりとも、御ことばのとおりを申し、御詞をよみ申さば、信仰し、うけたまわるべきことなりと。
(167)一 蓮如上人、おりおり仰せられ候う。「仏法の義をば、能く能く人にとえ。物をば人によくとい申せ」のよし、仰せられ候う。誰にとい申すべき由、うかがい申しければ、「仏法だにもあらば、上下をいわずとうべし。仏法は、しりそうもなきものがしるぞ」と仰せられ候うと云々
(168)一 蓮如上人、無文の物をきることを御きらい候う。「殊勝そうにみゆる」との仰せに候う。又、すみの黒き衣をき候うを、御きらい候う。墨のくろき衣をきて、御前へ参れば、仰せられ候う。「衣文ただしき、殊勝の御僧の御出で候う」と仰せられ候いて、「いや、われは殊勝にもなし。ただ、弥陀の本願、殊勝なる」由、仰せられ候う。
(169)一 大坂殿にて、文のある御小袖をさせられ、御座の上に掛けられておかれ候う由に候う。