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し候う事に候う。
(265)一 蓮如上人、仰せられ候う。「御門徒衆の、はじめて物をまいらせ候うを、他宗に出だし候う義、あしく候う。一度も二度も受用せしめ候いて、出だし候いて、然るべき」由、仰せられ候う。かくのごとくの子細は、存じもよらぬ事にて候う。弥いよ仏法の御用・御恩を、おろそかに存ずべきことにてはなく候う。驚き入り候うとの事に候う。
(266)一 法敬坊、大坂殿へ下られ候うところに、前々住上人、仰せられ候う。「御往生候うとも、十年はいくべし」と仰せられ候う処に、「なにか」と申されけれども、おしかえし、「いくべし」と仰せられ候う処に、御往生ありて、一年存命候う処に、法敬に、或人、仰せられ候う。「前々住上人、仰せられ候うは、あい申したるよ。その故は、一年も存命候うは、命を、前々住上人より御あたえ候う事にて候う」と仰せ候えば、「誠に、さにて御入り候う」とて、手をあわせ、ありがたき由を申され候う。それより後、前々住上人、仰せられ候うごとく、十年存命候う。誠に冥加に叶われ候う。不思議なる人にて候う。
(267)一 「毎年、無用なることを仕り候う義、冥加なき」由、条々、いつも仰せられ候う由に候う。
(268)一 蓮如上人、「物をきこしめし候うにも、如来・聖人の御恩を御忘れなし」と仰せられ候う。「一口きこしめしても、思し召し出だされ候う」由、仰せられ候うと云々