巻次 - 1082頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 (269)一 御膳を御覧じても、「人のくわぬ飯をくうべきことよと思し召し候う」由、仰せられ候う。「物をすぐにきこしめすことなし。ただ御恩のとうときことをのみ思し召し候う」と仰せ候うと云々(270)一 享禄二年十二月十八日の夜、兼縁、夢に、蓮如上人、『御文』をあそばし下され候う。その御詞に梅干のたとえ候う。「梅干のことをいえば、みな人の口、一同にすし。一味の安心は、かようにかわるまじきなり。」「同一念仏無別道故」(論註)の心にて候いつるようにおぼえ候うと云々(271)一 「仏法をすかざるがゆえに、嗜み候わず」と、空善、申され候えば、蓮如上人、仰せられ候う。「それは、このまぬは、きらうにてはなきか」と仰せられ候うと云々(272)一 「不法の人は、仏法を違例にする」と仰せられ候う。「仏法の御讃嘆あれば、あらきづまりや、とくはてよかしと思うは、違例にするにてはなきか」と仰せられ候うと云々(273)一 前住上人(実如)、御病中、正月二十四日に仰せられ候う。「前々住(蓮如)の、早々、われに、こいと、左の手にて御まねき候う。あらありがたや」と、くりかえしくりかえし仰せられ候いて、御念仏御申し候うほどに、各おの御心たがい候いて、かようにも仰せ候うと存じ候えば、その義にてはなくして、御まどろみ候う御夢に御覧ぜられ候う由、仰せられ候う処にて、みなみな安堵候いき。これ亦あらたなる御事なりと云々(274)一 同じき二十五日、兼誉・兼縁に対せられ、仰せられ候う。前々住上人(蓮如)、御世を譲りあそばされて以来のことども、種々仰せられ候う。御一身(実如)の御安心のとおり仰せられ候う。 紙面画像を印刷 前のページ p1082 次のページ 初版p906・907へ このページの先頭に戻る