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無からんが如し。必定の菩薩、若し諸仏及び諸仏の大功徳・威儀尊貴を念ずれば、「我、是の相有り。必ず当に作仏すべし。」即ち大きに歓喜せん。余は是の事有ること無けん。定心は深く仏法に入りて、心、動ずべからず。」
 又云わく(浄地品)、「信力増上は何ん。聞見する所有りて、必受して疑無ければ、「増上」と名づく、「殊勝」と名づくと。
 問うて曰わく、二種の増上有り。一には多、二には勝なり。今の説、何者ぞと。
 答えて曰わく、此の中の二事、倶に説かん。菩薩、初地に入れば、諸の功徳の味を得るが故に信力転増す。是の信力を以て諸仏の功徳無量深妙なるを籌量して、能く信受す。是の故に此の心亦多なり、亦勝なり。深く大悲を行ずれば、衆生を愍念すること骨体に徹入するが故に、名づけて「深」とす。一切衆生の為に仏道を求むるが故に、名づけて「大」とす。慈心は常に利事を求めて衆生を安穏す。慈に三種有り。乃至」
 又曰わく(易行品)、「仏法に無量の門有り。世間の道に難有り、易有り。陸道の歩行は則ち苦しく、水道の乗船は則ち楽しきが如し。菩薩の道も亦是くの如し。或いは懃行精進のもの有り。或いは信方便の易行を以て、疾く阿惟越致に至る者有り。乃至 若し人、疾く不退転地に至らんと欲わば、恭敬心を以て執持して名号を称すべし。若し菩薩、此の身に於いて阿惟越致地に至ることを得、阿耨多羅三藐三菩提を成らんと欲わば、当に是の十方諸仏を念ずべし。名号を称するこ