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念念に滅するが故に、殺者・死者、皆、念念に滅す。若し念念に滅せば誰か当に罪有るべきや。大王。火、木を焼くに、火則ち罪無きが如し。斧、樹を斫るに、斧亦罪無きが如し。鎌、草を刈るに、鎌、実に罪無きが如し。刀、人を殺するに、刀、実に人に非ず。刀、既に罪無きが如し。人、云何ぞ罪あらんや。毒、人を殺す。毒、実に人に非ず。毒薬、罪人に非ざるが如し。云何ぞ罪あらんや。一切万物、皆亦是くの如し。実に殺害無けん。云何ぞ罪有らんや。惟願わくは大王、愁苦を生ずること莫かれ。何を以ての故に。若し常に愁苦せば、愁、遂に増長せん。人、眠を喜めば、眠則ち滋く多きが如し。婬を貪し酒を嗜むも、亦復是くの如し。今大師有り、「迦羅鳩駄迦旃延」と名づく。」
 復た一臣有り、「無所畏」と名づく。「今大師有り、「尼乾陀若犍子」と名づく。」乃至
 爾の時に、大医、名づけて「耆婆」と曰う。王の所に往至して白して言さく、「大王。安んぞ眠ることを得んや不や」と。
 王、偈を以て答えて言わまく、乃至 「耆婆。我今、病重し。正法の王に於いて悪逆害を興ず。一切良医・妙薬・呪術・善巧瞻病の治すること能わざる所なり。何を以ての故に。我が父法王、法の如く国を治む。実に辜無し。横に逆害を加す。魚の陸に処するが如し。乃至 我、昔曾て、智者説きて言うことを聞きき。「身口意業、若し清浄ならずは、当に知るべし、是の人、必ず地獄に堕せんと。」我亦是くの如し。云何ぞ当に安穏に眠ることを得べきや。今、我、又、無上の大医無し。法薬を演説せんに、我が病苦を除きてんや。」