巻次 証 337頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 「三には方便門に依れり。一切衆生を憐愍したまう心なり。自身を供養し恭敬する心を遠離せるが故に」(論)とのたまえり。正直を「方」と曰う。外己を「便」と曰う。正直に依るが故に、一切衆生を憐愍する心を生ず。外己に依るが故に、自身を供養し恭敬する心を遠離せり。是れを「三種の菩提門相違の法を遠離す」と名づく。 順菩提門とは、「菩薩は、是くの如き三種の菩提門相違の法を遠離して、三種の随順菩提門の法満足することを得たまえるが故に。何等か三種。一には無染清浄心。自身の為に諸楽を求めざるを以ての故に」(論)とのたまえり。菩提は是れ無染清浄の処なり。若し身の為に楽を求めば、即ち菩提に違しなん。是の故に無染清浄心は是れ菩提門に順ずるなり。 「二には安清浄心。一切衆生の苦を抜くを以ての故に」(論)とのたまえり。菩提は是れ一切衆生を安穏する清浄の処なり。若し作心して一切衆生を抜きて生死の苦を離れしめずは、即便ち菩提に違しなん。是の故に一切衆生の苦を抜くは是れ菩提門に順ずるなりと。 「三には楽清浄心。一切衆生をして大菩提を得しむるを以ての故に、衆生を摂取して彼の国土に生ぜしむるを以ての故に」(論)とのたまえり。菩提は是れ畢竟常楽の処なり。若し一切衆生をして畢竟常楽を得しめずは、則ち菩提に違しなん。此の畢竟常楽は何に依りてか得る。大乗 紙面画像を印刷 前のページ p337 次のページ 初版p293・294へ このページの先頭に戻る