巻次
真仏土
373頁
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依りて勝行を起こせり。行に依りて勝果を感ず。果に依りて勝報を感成せり。報に依りて極楽を感成せり。楽に依りて悲化を顕通す。悲化に依りて智慧の門を顕開せり。然るに、悲心無尽にして、智亦無窮なり。悲智双べ行じて、即ち広く甘露を開けり。茲れに因りて、法潤、普く群生を摂したまうなり。諸余の経典に勧むる処、弥く多し。衆聖、心を斉しくして、皆同じく指讃したまう。此の因縁有りて、如来、密かに夫人を遣わして、別して選ばしめたまうことを致すなり。」
 又云わく(定善義)、「西方寂静無為の楽は、畢竟逍遙して有無を離れたり。大悲、心に薫じて法界に遊ぶ。分身して物を利すること、等しくして殊なること無し。帰去来、魔郷には停まるべからず。曠劫より来、六道に流転して尽く皆逕たり。到る処に余の楽無し。唯、愁歎〔或る本、「生死」なり。〕の声を聞く。此の生平を畢えて後、彼の涅槃の城に入らん」と。
 又云わく(法事讃)、「極楽は無為涅槃の界なり。随縁の雑善、恐らくは生じ難し。故に如来、要法を選びて教えて弥陀を念ぜしめて、専らにして復た専らならしめたまえり。」
 又云わく(法事讃)、「仏に従いて逍遙して自然に帰す。自然は即ち是れ弥陀の国なり。無漏無生、還りて即ち真なり。行来進止に常に仏に随いて、無為法性身を証得す」と。
 又云わく(法事讃)、「弥陀の妙果をば号して「無上涅槃」と曰う」と。已上抄出