巻次
巻上
42頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
漢文
画像情報
画像情報
本文

し。其の諸の声聞・菩薩・天・人、智慧高明にして、神通洞達せり。咸く同じく一類にして、形に異状無し。但し余方に因順するが故に、天・人の名有り。顔貌端正にして、世に超えて希有なり。容色微妙にして、天に非ず人に非ず。皆、自然虚無の身、無極の体を受けたり。」
 仏、阿難に告げたまわく、「譬えば世間に貧窮乞人の、帝王の辺に在らんが如し。形貌容状、寧ろ類すべけんや。」 阿難、仏に白さく、「仮令い此の人、帝王の辺に在らんに、羸陋醜悪にして、以て喩とすること無けん。百千万億不可計倍ならん。然る所以は、貧窮乞人は底極廝下にして、衣、形を蔽さず。食、趣かに命を支う。飢寒困苦して、人理殆ほと尽きなんとす。皆、前世に徳本を植えず、財を積みて施さず、有るに富みて益ます慳み、但、唐らに得んと欲うて貪求して厭うこと無し。肯えて善を修せず、悪を犯すこと、山のごとく積もるに坐してなり。是くの如くして

漢文

次於無為◦泥洹之道。其諸声聞。菩薩天人。智慧高明。神通洞達。咸同一類。形無異状。但因順余方故。有天人之名。顔貌端正。超世希有。容色微妙。非天非人。皆受自然◦虚無之身◦無極之体。
仏告阿難。譬如世間◦貧窮乞人◦在帝王辺。形貌容状。寧可類乎。阿難白仏。仮令此人。在帝王辺。羸陋醜悪。無以為喩。百千万億。不可計倍。所以然者。貧窮乞人。底極廝下。衣不蔽形。食趣支命。飢寒困苦。人理殆尽。皆坐前世◦不植徳本◦積財不施◦富有益慳◦但欲唐得◦貪求無厭◦不肯修善◦犯悪山積。如是寿終。財宝消散。苦身聚積。為之憂悩。於己