巻次
-
565頁
表示設定
ブックマーク
表示設定
文字サイズ
書体
  • ゴシック
  • 明朝
カラー
テキスト情報
本文
画像情報
画像情報
本文

如来二種回向文(往相回向還相回向文類)

 『無量寿経優婆提舎願生偈』に曰わく、「云何が回向する。一切苦悩の衆生を捨てずして心に常に作願すらく、回向を首として大悲心を成就することを得たまえるが故に」と。文
 この本願力の回向をもって、如来の回向に二種あり。一には往相の回向、二には還相の回向なり。
 往相の回向につきて、真実の行業あり、真実の信心あり、真実の証果あり。
 真実の行業というは、諸仏称名の悲願にあらわれたり。称名の悲願、『大無量寿経』にのたまわく、「設我得仏 十方世界 無量諸仏 不悉咨嗟 称我名者 不取正覚」文
 真実信心というは、念仏往生の悲願にあらわれたり。信楽の悲願、『大経』にのたまわく、「設我得仏 十方衆生 至心信楽 欲生我国 乃至十念 若不生者 不取正覚 唯除五逆 誹謗正法」文
 真実証果というは、必至滅度の悲願にあらわれたり。証果の悲願、『大経』にのたまわく、「設我得仏 国中人天 不住定聚 必至滅度者 不取正覚」文
 これらの本誓悲願を、選択本願ともうすなり。この必至滅度の大願をおこしたまいて、この真実信楽をえたらん人は、すなわち正定聚のくらいに住せしめんとちかいたまえり。