巻次
高僧
594頁
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(15)往相の回向ととくことは

弥陀の方便ときいたり
悲願の信行えしむれば
生死すなわち涅槃なり

(16)還相の回向ととくことは

利他教化の果をえしめ
すなわち諸有に回入して
普賢の徳を修するなり

(17)論主の一心ととけるをば

曇鸞大師のみことには
煩悩成就のわれらが
他力の信とのべたまう

(18)尽十方の無碍光は

無明のやみをてらしつつ
一念歓喜するひとを
かならず滅度にいたらしむ

(19)無碍光の利益より

威徳広大の信をえて
かならず煩悩のこおりとけ
すなわち菩提のみずとなる

(20)罪障功徳の体となる

こおりとみずのごとくにて
こおりおおきにみずおおし
さわりおおきに徳おおし

(21)名号不思議の海水は

逆謗の屍骸もとどまらず
衆悪の万川帰しぬれば
功徳のうしおに一味なり

(22)尽十方無碍光の

大悲大願の海水に
煩悩の衆流帰しぬれば
智慧のうしおに一味なり