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有情利益はおもうまじ
如来の願船いまさずは
苦海をいかでかわたるべき

(6)蛇蝎姧詐のこころにて

自力修善はかなうまじ
如来の回向をたのまでは
無慙無愧にてはてぞせん

(7)五濁増のしるしには

この世の道俗ことごとく
外儀は仏教のすがたにて
内心外道を帰敬せり

(8)かなしきかなや道俗の

良時吉日えらばしめ
天神地祇をあがめつつ
卜占祭祀つとめとす

(9)僧ぞ法師のその御名は

とうときこととききしかど
提婆五邪の法ににて
いやしきものになづけたり

(10)外道梵士尼乾志に

こころはかわらぬものとして
如来の法衣をつねにきて
一切鬼神をあがむめり

(11)かなしきかなやこのごろの

和国の道俗みなともに
仏教の威儀をもととして
天地の鬼神を尊敬す

(12)五濁邪悪のしるしには

僧ぞ法師という御名を
奴婢僕使になづけてぞ