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づくことなかれ」(散善義)とこそ、おしえおかれてそうらえ。善知識・同行には、したしみちかづけとこそ、ときおかれてそうらえ。悪をこのむひとにもちかづき、善をせぬひとにもちかづきなんどすることは、浄土にまいりてのち、衆生利益にかえりてこそ、さようの罪人にも、したしみちかづくことはそうらえ。それも、わがはからいにはあらず。弥陀のちかいにより、かの御たすけによりてこそ、おもうさまのふるまいもそうらわんずれ。当時は、この身どものようにては、いかがそうろうべからんとおぼえそうろう。よくよく案ぜさせたまうべくそうろう。往生の金剛心のおこることは、仏の御はからいによりおこりてそうらえば、金剛心をとりてそうらわんひとは、よも、師をそしり善知識をあなどりなんどすることは、そうらわじとぞ、おぼえそうらえ。
 この文をもちて、鹿島・行方・南庄、いずかたにも、これにこころざしおわしまさんひとには、おなじ御こころによみきかせたまうべくそうろう。あなかしこ、あなかしこ。

建長四年 壬子 八月十九日     親鸞

(二) この明教坊、のぼられてそうろうこと、まことにありがたきこととおぼえそうろう。明法の御坊の御往生のことを、まのあたりにききそうろうもうれしくそうろう。また、ひとびとの御こころざしも、ありがたくおぼえそうろう。かたがた、このひとののぼり、不可思議のことにそうろう。この文を、たれたれにも、おなじ御こころによみきかせたまうべくそうろう。この文は奥郡におわします同朋の御なかに、おなじくみな御覧そうろうべし。あなかしこ、あなかしこ。