巻次 - 691頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 としごろ念仏して往生をねがうしるしには、もとあしかりしわがこころをもおもいかえして、ともの同朋にもねんごろのこころのおわしましあわばこそ、世をいとうしるしにてもそうらわめとこそ、おぼえそうらえ。よくよく御こころえそうろうべし。(三) 御文度々まいらせそうらいき。御覧ぜずやそうらいけん。なにごとよりも、明法の御坊の、往生の本意とげておわしましそうろうこそ、常陸国中のこれにこころざしおわしますひとびとの御ために、めでたきことにてそうらえ。 往生は、ともかくも凡夫のはからいにてすべきことにてもそうらわず。めでたき智者も、はからうべきことにもそうらわず。大小の聖人だにも、とかくはからわで、ただ願力にまかせてこそ、おわしますことにてはそうろうなれ。まして、おのおののようにおわしますひとびとは、ただ、このちかいありときき、南無阿弥陀仏にあいまいらせんことこそ、ありがたく、めでたくそうろう御果報にてはそうろうなれ。おのおの、とかくはからわせたまうこと、ゆめゆめそうろうべからず。さきにくだしまいらせそうらいし、『唯信鈔』・『後世物語』・『自力他力』なんどの文どもにて、御覧そうろうべし。それこそ、この世にとりては、よきひとびとにてもおわします。また、すでに往生をもしておわしますひとびとにてそうらえば、その文どもにかかれてそうろうには、なにごともなにごとも、すぐべくもそうらわず。法然聖人の御おしえを、よくよく御こころえたるひとびとにておわしましそうらいき。さればこそ、往生もめでたくおわしましそうらえ。 紙面画像を印刷 前のページ p691 次のページ 初版p563・564へ このページの先頭に戻る