- あ
- あ
- あ
- ゴシック
- 明朝
- あ
- あ
- あ
念仏をさえらるなんどもうさんことに、ともかくもなげきおぼしめすべからずそうろう。念仏とどめんひとこそ、いかにもなりそうらわめ。もうしたまうひとは、なにかくるしくそうろうべき。余のひとびとを縁として念仏をひろめんと、はからいあわせたまうこと、ゆめゆめあるべからずそうろう。そのところに、念仏のひろまりそうらわんことも、仏天の御はからいにてそうろうべし。慈信坊(善鸞)がようようにもうしそうろうなるによりて、ひとびとも御こころどもの、ようようにならせたまいそうろうよし、うけたまわりそうろう。かえすがえす不便のことにそうろう。ともかくも、仏天の御はからいにまかせまいらせさせたまうべし。そのところの縁つきておわしましそうらわば、いずれのところにても、うつらせたまいそうろうておわしますように御はからいそうろうべし。
慈信坊がもうしそうろうことをたのみおぼしめして、これよりは余のひとを強縁として念仏ひろめよともうすこと、ゆめゆめもうしたることそうらわず。きわまれるひがごとにてそうろう。この世のならいにて、念仏をさまたげんとせんことは、かねて仏のときおかせたまいてそうらえば、おどろきおぼしめすべからず。ようように慈信坊がもうすことを、これよりもうしそうろうと御こころえそうろう、ゆめゆめあるべからずそうろう。法門のようも、あらぬさまにもうしなしてそうろうなり。御耳にききいれらるべからずそうろう。きわまれるひがごとどものきこえそうろう。あさましくそうろう。入信坊なんども不便におぼえそうろう。鎌倉にながいしてそうろうらん、不便にそうろう。当時、それもわずらうべくてぞ、さてもそうろうらん。ちからおよばずそうろう。
