巻次 - 706頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 念仏をさえらるなんどもうさんことに、ともかくもなげきおぼしめすべからずそうろう。念仏とどめんひとこそ、いかにもなりそうらわめ。もうしたまうひとは、なにかくるしくそうろうべき。余のひとびとを縁として念仏をひろめんと、はからいあわせたまうこと、ゆめゆめあるべからずそうろう。そのところに、念仏のひろまりそうらわんことも、仏天の御はからいにてそうろうべし。慈信坊(善鸞)がようようにもうしそうろうなるによりて、ひとびとも御こころどもの、ようようにならせたまいそうろうよし、うけたまわりそうろう。かえすがえす不便のことにそうろう。ともかくも、仏天の御はからいにまかせまいらせさせたまうべし。そのところの縁つきておわしましそうらわば、いずれのところにても、うつらせたまいそうろうておわしますように御はからいそうろうべし。 慈信坊がもうしそうろうことをたのみおぼしめして、これよりは余のひとを強縁として念仏ひろめよともうすこと、ゆめゆめもうしたることそうらわず。きわまれるひがごとにてそうろう。この世のならいにて、念仏をさまたげんとせんことは、かねて仏のときおかせたまいてそうらえば、おどろきおぼしめすべからず。ようように慈信坊がもうすことを、これよりもうしそうろうと御こころえそうろう、ゆめゆめあるべからずそうろう。法門のようも、あらぬさまにもうしなしてそうろうなり。御耳にききいれらるべからずそうろう。きわまれるひがごとどものきこえそうろう。あさましくそうろう。入信坊なんども不便におぼえそうろう。鎌倉にながいしてそうろうらん、不便にそうろう。当時、それもわずらうべくてぞ、さてもそうろうらん。ちからおよばずそうろう。 紙面画像を印刷 前のページ p706 次のページ 初版p576・577へ このページの先頭に戻る