巻次 - 749頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 又、母のあまにもふしぎのそらごとをいいつけられたること、もうすかぎりなきこと、あさましゅうそうろう。みぶの女房の、これへきたりてもうすこと、じしんぼうがとうたるふみとて、もちてきたれるふみ、これにおきてそうろうめり。慈信房がふみとてこれにあり。そのふみ、つやつやいろわぬことゆえに、ままははにいいまどわされたると、かかれたること、ことにあさましきことなり。よにありけるを、ままははのあまのいいまどわせりということ、あさましきそらごとなり。又、この世にいかにしてありけりともしらぬことを、みぶのにょうぼうのもとへも、ふみのあること、こころもおよばぬほどのそらごと、こころうきことなりと、なげきそうろう。まことにかかるそらごとどもをいいて、六波羅のへん・かまくらなんどにひろうせられたること、こころうきことなり。 これらほどのそらごとは、このよのことなれば、いかでもあるべし。それだにも、そらごとをいうこと、うたてきなり。いかにいわんや、往生極楽の大事をいいまどわして、ひたち・しもつけの念仏者をまどわし、おやにそらごとをいいつけたること、こころうきことなり。第十八の本願をば、しぼめるはなにたとえて、人ごとにみなすてまいらせたりときこゆること、まことにほうぼうのとが、又、五逆のつみをこのみて、人をそんじまどわさるること、かなしきことなり。ことに、破僧罪ともうすつみは、五逆のその一なり。親鸞にそらごとをもうしつけたるは、ちちをころすなり。五逆のその一なり。このことども、つたえきくこと、あさましさ、もうすかぎりなければ、いまは、おやということあるべからず、ことおもうことおもいきりたり。三宝・神明に、もうしきりおわりぬ。か 紙面画像を印刷 前のページ p749 次のページ 初版p611・612へ このページの先頭に戻る