巻次 - 759頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 御文の中に、先年に、寛喜三年の四月四日より病ませ給いて候いし時の事、書き記して、文の中に入れて候うに、その時の日記には、四月の十一日のあか月、「経読む事は、今はさてあらん」と仰せ候いしは、やがて四月の十一日のあか月としるして候いけるに候う。それを数え候うには八日に当たり候いけるに候う。四月の四日よりは八日に当たり候う也。(七) もし便や候うとて、越中へこの文はつかわし候う也。さても、一年、八十と申し候いし歳、大事の所労をして候いしにも、八十三の歳ぞ一定と、ものしりたる人の文どもにも、同じ心に申し候うとて、今年はさる事と思いきりてそうらえば、生きて候う時、卒都婆を建ててみ候わばやとて、五重に候う石の塔を、丈七尺にあつらえて候えば、塔師、造ると申し候えば、いできて候わんに従いて、建ててみばやと思い候えども、昨年の飢渇に、何も、益方のと、これのと、何となく幼きものども、上下数多候うを、殺さじとし候いしほどに、ものも着ずなりて候ううえ、白きものを一も着ず候えば、(以下欠失)…… 一人候う。又、おとほうしと申し候いし童をば、とう四郎と申し候うぞ。それへ参れと申し候う。然御心得あるべく候う。けさが娘は十七になり候う也。さて、ことりと申す女は、子も一人も候わぬ時に、七になり候う女童を養わせ候う也。それは親につきて、それへ参るべく候う也。よろず尽くし難くて、難くて、止め候いぬ。あなかしこ、あなかしこ。(八) 便をよろこびて申し候う。度々、便には申し候えども、参りてや候うらん。今年は八十三にな 紙面画像を印刷 前のページ p759 次のページ 初版p620・621へ このページの先頭に戻る