巻次 - 762頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 なり候う。それと、ことり、又、い□く、又、それにのぼりて候いし時、おとほうしとて候いしが、このごろ□□四郎と申し候うは参らせんと申し候えば、父母うちすてては参らじと心には申し候うと申し候えども、それはいかようにもはからい候う。□く田舎に人に身を入れて代わりを参らせんとも、栗沢が候わんずれば申し候うべし。たうし代わりはいくほどかは候うべきとぞおぼえ候う。これらほどの男は、よに□□なく申し候う也。 又、小袖、度々給わりて候う。うれしさ、今は、黄泉小袖にて、衣も候わんずれば、申すばかり候わず、うれし□候う也。今は尼(恵信尼)が着て候うものは、最後の時の事、はなしては、思わず候う。今は時日を待つ身にて候えば、又、確かならん便に、小袖給ぶべきよし仰せられて候いし。このえもん入道の便は確かに候わんずらん。又、宰相殿は、ありつきておわしまし候うやらん。よろず、公達の事ども、皆うけ給わりたく候う也。尽くし難くて止め候いぬ。あなかしこ、あなかしこ。九月七日 又、わかさ殿も今は年すこし寄りてこそおわしまし候わめ。あわれ、ゆかしくこそ思い候え。年寄りては、いかがしくみて候う人も、ゆかしく見たくおぼえ候いけり。かこのまえの事のいとおしさ、上れんぼうの事も思い出でられてゆかしくこそ候え。あなかしこ、あなかしこ。(一〇) (わかさ殿) 便を喜びて申し候う。さては、今年まであるべしと思わず候いつれども、今年は八十七やらんに 紙面画像を印刷 前のページ p762 次のページ 初版p622・623へ このページの先頭に戻る