巻次 - 804頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 しながら、かれを食せば、袈裟の徳用をもって、済生利物の願念をやはたすと存じて、これを着しながら、かれを食する物なり。冥衆の照覧をあおぎて、人倫の所見をはばからざること、かつは無慙無愧のはなはだしきににたり。しかれども、所存、かくのごとし」と云々 このとき開寿どの、幼少の身として、感気おもてにあらわれ、随喜、もっともふかし。一天四海をおさむべき棟梁、その器用はおさなくより、ようあるものなりと、おおせごとありき。康永三歳 甲申 孟夏上旬 七日 此巻書写之訖 桑門宗昭 七十五(9)一 あるとき鸞上人、黒谷の聖人(法然)の禅房へ御参ありけるに、修行者一人、御ともの下部に案内していわく、「京中に八宗兼学の名誉まします智恵第一の聖人の貴坊や、しらせたまえる」という。この様を御ともの下部、御車のうちへもうす。鸞上人のたまわく、「智恵第一の聖人の御房とたずぬるは、もし源空聖人の御事か。しからば、われこそただいま、かの御坊へ参ずる身にてはんべれ。いかん。」修行者申していわく、「そのことにそうろう。源空聖人の御ことをたずね申すなり」と。鸞上人のたまわく、「さらば先達すべし。この車にのらるべし」と。修行者おおきに辞し申して、「そのおそれあり。かなうべからず」と云々 鸞上人のたまわく、「求法のためならば、あながちに隔心あるべからず。釈門のむつび、なにかくるしかるべき。ただのらるべし」と。 紙面画像を印刷 前のページ p804 次のページ 初版p658・659へ このページの先頭に戻る