巻次 - 817頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 きざみ、御相承の眼目、相違なきについて御感涙をながさるるものなり。しるべし。(17)一 凡夫として毎事勇猛のふるまい、みな虚仮たる事。 愛別離苦におうて、父母妻子の別離をかなしむとき、仏法をたもち、念仏する機、いう甲斐なくなげきかなしむこと、しかるべからずとて、かれをはじしめ、いさむること、多分先達めきたるともがら、みなかくのごとし。この条、聖道の諸宗を行学する機のおもいならわしにて、浄土真宗の機教をしらざるものなり。まず凡夫は、ことにおいて、つたなく、おろかなり。その姧詐なる性の実なるをうずみて賢善なるよしをもてなすは、みな不実虚仮なり。たとい未来の生処を弥陀の報土とおもいさだめ、ともに浄土の再会をうたがいなしと期すとも、おくれさきだつ一旦のかなしみ、まどえる凡夫として、なんぞこれなからん。なかんずくに、曠劫流転の世々生々の芳契、今生をもって輪転の結句とし、愛執愛着のかりのやど、この人界の火宅、出離の旧里たるべきあいだ、依正二報ともに、いかでかなごりおしからざらん。これをおもわずんば、凡衆の摂にあらざるべし。けなりげならんこそ、あやまって自力聖道の機たるか。いまの浄土他力の機にあらざるかとも、うたがいつべけれ。おろかにつたなげにして、なげきかなしまんこと、他力往生の機に相応たるべし。うちまかせての凡夫のありさまにかわりめあるべからず。往生の一大事をば、如来にまかせたてまつり、今生の身のふるまい、心のむけよう、口にいうこと、貪・瞋・痴の三毒を根として、殺生等の十悪、穢身のあらんほどは、たちがたく、伏しがたきによりて、これをはなるること、あるべ 紙面画像を印刷 前のページ p817 次のページ 初版p670・671へ このページの先頭に戻る