巻次 下本 | 下末 889頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 人左右なく出で会いたまいにけり。すなわち尊顔にむかいたてまつるに、害心忽ちに消滅して、剰え後悔の涙禁じがたし。ややしばらくありて、有りのままに、日来の宿鬱を述すといえども、聖人、又おどろける色なし。たちどころに弓箭をきり、刀杖をすて、頭巾をとり、柿衣をあらためて、仏教に帰しつつ終に素懐をとげき。不思議なりし事なり。すなわち明法房是れなり。聖人これをつけ給いき。(絵)康永二歳 癸未 十一月一日絵詞染筆訖。 沙門宗昭 七十四本願寺聖人伝絵 下末 聖人、東関の堺を出でて、花城の路におもむきましましけり。或日晩陰におよんで箱根の険阻にかかりつつ、遙かに行客の蹤を送りて、漸く人屋の枢にちかづくに、夜もすでに暁更におよんで、月も、はや孤嶺にかたぶきぬ。時に、聖人あゆみよりつつ、案内したまうに、まことに齢傾きたる翁のうるわしく装束きたるが、いとこととく出で会いたてまつりて、いう様、「社廟 紙面画像を印刷 前のページ p889 次のページ 初版p733・734へ このページの先頭に戻る