巻次 - 912頁 表示設定 ブックマーク 表示設定 文字サイズ あ あ あ 書体 ゴシック 明朝 カラー あ あ あ テキスト情報 本文 画像情報 画像情報 本文 名号をとなえて、大悲弘誓の恩徳を報じたてまつれといえるこころなり。 「天親菩薩造論説 帰命無碍光如来」というは、この天親菩薩も、龍樹とおなじく千部の論師なり。仏滅後九百年にあたりて出世したまう。『浄土論』一巻をつくりて、あきらかに三経の大意をのべ、もっぱら無碍光如来に帰命したてまつりたまえり。 「依修多羅顕真実 光闡横超大誓願 広由本願力回向 為度群生彰一心」というは、この菩薩、大乗経によりて真実をあらわす。その真実というは念仏なり。横超の大誓願をひらきて、本願の回向によりて群生を済度せんがために、論主も一心に無碍光に帰命し、おなじく衆生も一心にかの如来に帰命せよとすすめたまえり。 「帰入功徳大宝海 必獲入大会衆数」というは、「大宝海」というは、よろずの衆生をきらわず、さわりなく、へだてず、みちびきたまうを、大海のみずのへだてなきにたとえたり。この功徳の宝海に帰入すれば、かならず大会数にいるべきにさだまるとなりといえり。 「得至蓮花蔵世界 即証真如法性身」というは、「蓮花蔵世界」というは、安養世界のことなり。かの土にいたりなば、すみやかに真如法性の身をうべきものなりといえるこころなり。 「遊煩悩林現神通 入生死園示応化」というは、これは還相回向のこころなり。弥陀の浄土にいたりなば、娑婆世界にもまたたちかえり、神通自在をもって、こころにまかせて衆生をも利益せしむべしといえることなり。 紙面画像を印刷 前のページ p912 次のページ 初版p753・754へ このページの先頭に戻る